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医原性AKIに対する10のTips 

Ten tips on how to reduce iatrogenic acute kidney injury. Clin Kidney J. 2024 Dec 18;18(2):sfae412.


AKI予防についての論文になります。全体的に急性期~ICUセッティングな内容に感じました。薬剤性を避ける、フロセミドテストなどは実臨床ですでに大切にしていますが、ストレスマーカーやダメージマーカーがあるというのは初耳でした。

VExUSスコアについては別記事で勉強します。


NotebookLMを用いて内容をまとめ、chatGPTで「上記文章に書かれていいないことは許可しない限り出力するな」と伝えたのちに文章を修正しています。ハルシネーション対策で内容も確認していますが、気になる方は申し訳ないですがご自身でもご確認ください。


医原性急性腎障害(AKI)を減らすための10の具体的なヒント

AKIの診断、予防、管理は継続的なプロセスです。数値データを交えて、AKIを減らすための具体的な戦略を紹介します。


1. リスクのある患者を特定する

  • AKIのリスクが高い患者を特定しておくことが大切です。入院患者には内因性(患者関連)および外因性(疾患または処置関連)のAKI 発生リスクがあります。
  • 主要手術を受けた患者の 約20% がAKIを発症します。世界で年間約3億件の手術が行われるため、影響を受ける患者数は非常に多いです。
  • 敗血症患者の AKI発生率は最大67% に達し、30%以上のリスクを持つとされています。
  • 年齢も重要なリスク因子で、10歳年齢が上がるごとにAKI発生率が2倍 になることが報告されています。

2. ストレスバイオマーカーの使用を検討する

  • TIMP-2IGFB7 は、AKI発症 48時間前 のリスク予測に期待されています。
  • カットオフ値 0.3 ng/mL²/1000 の場合、感度 0.72、特異度 0.58
  • カットオフ値 2.0 ng/mL²/1000 では 感度 0.38、特異度 0.94 になります。

3. サブクリニカルAKIの検出にダメージバイオマーカーを使用する

  • サブクリニカルAKI とは、腎機能指標(血清クレアチニン、尿量)が正常でも、腎損傷バイオマーカーが上昇する状態です。従来の診断基準では腎臓の損傷の検出が遅れるため、ダメージ バイオマーカーが期待されています。
  • これは 死亡率の増加 と関連しており、早期検出が重要です。
  • 具体的には尿中のNGAL(Neutrophil Gelatinase-Associated Lipocalin, Lipocalin-2)が有望です

4. 高リスク患者に予防措置を適用する

(術後の推奨事項にはCV、AラインやPICCOによる循環動態モニタリングが含まれていました。心臓手術術後のセッティングと思われます。気になる方は引用文献を参照ください)

  • PrevAKI研究 では、心臓手術後の患者に KDIGO推奨事項 を実施することで、
    AKI発生率が55.1%から71.7%に減少(絶対リスク減少 16.6%) しました。
  • BigpAK研究 では、腹部手術患者の 中等度・重度のAKI発生率が6.7% vs 19.7% と有意に減少しました。

5. 腎毒性のある薬剤を避け、適切にモニタリングする

  • ICUでは、AKI症例の約25%が薬剤によるもの と推定されています。
  • 可能な限り腎毒性の少ない薬剤を選択し、治療薬モニタリング(TDM)を活用することでリスクを軽減できます。

6. AKI患者やリスクのある患者の体液状態を評価する

(VExUSスコアについては別記事を作成予定です。)

  • VExUSスコア を用いた静脈うっ血の評価は、AKI発症リスクの指標となります。
  • 過剰輸液による腎うっ血を防ぐことが、AKI予防につながります。

7. 腎代替療法(RRT)が必要な患者を特定する

  • フロセミドストレステスト(FST) により、RRTが必要になる患者を予測可能です。
  • FST後 2時間以内の尿量が200mL未満 の場合、RRTが必要となる可能性が高くなります。
  • CCL14 との併用で、予測精度が向上します。

8. 腎代替療法(RRT)の適切な開始時期を見極める

  • KDIGOガイドライン では、持続的腎代替療法(CRRT)を 20〜25 mL/kg/時 の効率で行うことを推奨しています。
  • 適切なタイミングでの開始が、患者の予後改善につながります。

9. CRRTには可能な限り局所クエン酸抗凝固療法(RCA)を使用する

  • RCA はフィルター寿命を延ばし、ヘパリン起因性血小板減少症(HIT)などの合併症リスクを軽減します。
  • 総カルシウム/イオン化カルシウム比が2.5以上 の場合、クエン酸蓄積のリスクがあるため注意が必要です。

10. AKI後の急性腎臓病(AKD)・慢性腎臓病(CKD)をスクリーニングする

  • AKI発症後3か月 の時点で再評価し、AKDやCKDへの移行を早期に検出することが重要です。
  • 継続的なフォローアップが、長期的な腎機能保護につながります。

これらのヒントを実践することで、AKIの予防と管理がより効果的になります。

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